ふたの人生

風呂のふたが3つに割れてしまいました。

10何年間いつもぴったり寄り添って、お風呂を冷やさないでいてくれた風呂のふた。

雨の日も風の日も、楽しい時も悲しい時も、風呂に入っているときは何故かいつもそこに風呂のふたがいました。

彼らにいったい何があったのでしょうか?

始めは些細なことだったかもしれません。

蒸気の封じ方とか、風呂釜の上のポジショニングとか。

どうでもいいような小さな行き違いが、やがて大きな溝になって…

日本の風呂のふたの平均寿命は約15年と3ヶ月と言われています。

これは世界的に見てもかなりの長寿です。

きちんと整備された上下水道と、中性洗剤で丁寧に風呂釜を洗う日本人の習性が、ふたの健康状態に
多大な好影響を与えているそうです。

とは言え、人間でいうと80歳を過ぎた高齢の身でありながら、別々の道を歩むことを決めた我が家の風呂のふた。

大量消費、使い捨てが当たり前の今の世の中。

新しいふたを買うことは簡単です。

でもこの思い出のいっぱい詰まった風呂のふたに、もう一度寄りを戻してもらいたい。

風呂のふたごときに、2千円も3千円も使えるか!!

僕はそう思いながら、風呂のふたをそっと閉めるのでした。